
翻訳では守れない世界がある
英語が苦手でも、
「翻訳があれば何とかなる」
そう思ってきた人は多いはずです。
確かに、日常生活や一般的な仕事では、
翻訳ツールはとても優秀です。
しかし――
セキュリティの世界では、それが通用しない場面があります。
セキュリティは「文章」を読まない
セキュリティの現場で向き合うのは、
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ファイアウォールの管理画面
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UTMやVPNの設定項目
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リアルタイムで流れるログ
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エラーや警告メッセージ
これらは、
**説明文ではなく「状態そのもの」**です。
翻訳が得意なのは「文章」。
でも、セキュリティが相手にするのは「挙動」と「判断」です。
翻訳しても、次の一手が分からない
たとえばログに出る、短い英語。
翻訳すれば意味は分かります。
ポリシー不一致のため受信通信を破棄
でも、ここで本当に必要なのは、
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どのルールが原因か
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変更すべき設定はどこか
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今、通信は止めるべきか通すべきか
判断です。
翻訳は答えを出してくれません。
翻訳している間にも、事態は進む
セキュリティでは、
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通信断
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業務停止
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不正アクセス
が、同時進行で起きます。
そのときに
「一度翻訳してから考える」
という余裕はありません。
だから現場では、こうなります。
翻訳に頼る人は、判断を任せられない
これは能力の問題ではなく、役割の問題です。
セキュリティ英語は「読む」ではなく「扱う」
セキュリティで使う英語は、
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allow / deny
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inbound / outbound
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policy / rule
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established / related
どれも難しい単語ではありません。
でもこれは、
翻訳する英語ではなく、操作する英語です。
意味を日本語に変換する前に、
「どう動くか」を理解していないといけません。
なぜ英語ができる人が求められるのか
セキュリティ業界が英語力を重視する理由は、
「海外がすごいから」ではありません。
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情報の一次ソースが英語
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機器・システムが英語
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障害情報・脆弱性情報が英語
つまり、
英語を通さないと守れない構造になっているからです。
翻訳では守れない。でも、完璧な英語はいらない
誤解されがちですが、
セキュリティに必要なのは流暢な英会話ではありません。
必要なのは、
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英語画面を見ても固まらない
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ログを「意味のかたまり」で読む
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マニュアルを探しながら理解できる
この力です。
そしてこの土台になるのが、
英検準1級レベルの読解力と思考力です。
翻訳の先に立つために
翻訳は便利です。
でも、翻訳の向こう側に立たなければ、
守れない世界があります。
英語を「日本語に直す」段階から、
英語を「そのまま扱う」段階へ。
そこに立ったとき、
セキュリティという仕事が、
現実的な選択肢になります。

