
英語が話せてよかったこと(続き)
英語が話せてよかった、と感じた場面は、
買い物や仕事の場面だけではありません。
あるとき、
スタンフォード大学の講習を受けるためにホテルに滞在していたときのことです。
時差の関係で、
夜中に目が覚めてしまいました。
ホテルのルームサービスはすべて終わっており、
軽く何かを食べたいと思っても、どうにもなりません。
そこで情報を探していると、
隣のホテルの最上階にラウンジがあり、食事ができるということがわかりました。
とりあえず行ってみよう、と思い、
そのラウンジへ向かいました。
ところが、
そこはそのホテルに宿泊している人専用の、
いわゆるクラブラウンジでした。
本来であれば、
私は入れる立場ではありません。
そこで私は、
特別な言い方をしたわけでも、
無理な主張をしたわけでもありません。
ただ、
「お金を払うから、入れてもらえませんか」
「少し食べさせてもらえるだけで大丈夫です」
と、落ち着いた英語で伝えました。
すると、
スタッフの方は少し考えたあと、
「じゃあ、あなたは特別にいいわ」
「でも、あなただけだからね」
そう言って、
中へ通してくれたのです。
驚いたのは、その後でした。
私は「お金は払います」と何度か伝えましたが、
スタッフの方は笑って、
「いいのよ、気にしないで」
「ゆっくり食べていって」
そう言って、
結局、無料で食事をさせてくれました。
そのとき、
「助かった」という気持ち以上に、
とても幸せだなと感じたのを覚えています。
なぜなら、
隣のホテルに泊まっている私が、
本来は入れない場所で、
ここまで丁寧に扱われた理由が、
はっきりとは説明できなかったからです。
ただ一つ言えるのは、
それは「英語が話せたから」だけではない、ということです。
-
無理にお願いしない
-
相手の立場を尊重する
-
状況を理解した言葉を選ぶ
そうした英語の使い方が、
相手に安心感を与え、
結果として「特別な対応」につながったのだと思います。
英語は、
相手を説得するためだけの道具ではありません。
相手との距離を、静かに縮める力を持っています。
そしてそれは、
語彙の量や試験の点数よりも、
どのような英語を身につけてきたかによって決まります。
準1級レベルの英語は、
多くの場面で役に立ちます。
しかし、
その英語に品位や余裕が加わったとき、
英語は人生を、思いがけない方向で
少しだけ優しく、少しだけ楽しくしてくれます。
それを、私は何度も実感しています。
「英検準1級は通過点」
「これは特別な人の話ではありません。
言葉の選び方を知っているかどうか、ただそれだけです。」

